クモ

こんばんは。

 

本日はまずこちらの車両。

特徴的なとんがり部分、わかりますか?

はい、フェラーリ・360スパイダーです。

360モデナ スパイダーではありませんよ。

モデナはあくまでクーペのほうの呼称です。

はい、細かいことはどうでもいいですね。

 

こちらの幌の開閉機構はおっそろしいほど複雑な構造をしておりまして、

よくもまぁこんなもの考えたなぁと感心してしまいます。

 

 

畳み方も極めてアクロバティック。

このあとさらに前半分が後ろにクルリと反転して格納庫の中に入っていきます。

これだけ複雑なものを追加してクーペ+135万円はある意味バーゲンプライスと言えるかもしれません。

 

ちなみに発売当時(1999年)の360モデナ(6MT)の価格は1,645万円です。

今考えるとめっちゃくちゃ安かったんです、当時のフェラーリは。

最新の488GTBは3,070万円ですからね、ほぼ倍増です。

フェラーリ自身「高くても売れるから問題ない」と言い切っていますが、

日本の経済が世界水準からだいぶ取り残されてしまっているのを感じます。

フェラーリをはじめ高級車がガンガン値上げする中、

日本の給与水準はちょうど1999年ころをピークにほぼひたすら右肩下がりです。

まぁ、平均給与近辺の人が買う車ではないので関係ないでしょうけど。

 

話は戻って、こんな複雑なシステムを開発したのはどこのどいつだ!

と思ったら格納庫にありました、製造元のラベルが。

CTS Fahrzeug-Dachsysteme GmbHというドイツの会社だそうです。

なんて読むのかはさっぱりわかりません。

ここは他にもポルシェ系のオープンカーなどを手掛けているようです。

どうりでボクスターや911の幌と納まりが似ているわけだ。

 

ちなみに同業のカルマン社と同じく、ここも他社に買収されておりまして、

現在は自動車部品大手マグナ社の傘下に入っております。

こんな複雑なシステムを開発しても売れるのはせいぜい数千台で、

CTS社には135万円アップのうち半分も入らないでしょうから、そりゃ経営は厳しいですよねぇ。

 

こちらは鬼門のゴムバンド。

他にもたくさんのゴムバンドがあり今回全て交換しておりますが、

中でもここが一番重要なバンドでして、伸びてしまうと幌が格納できなくなってしまいます。

ですので以前のマセラティと同じく、簡単に交換出来るように細工しておきました。

だって、そうしておかないと次回また調整依頼があった時、大変ですから。

 

はい、というわけで出来上がり。

当方では360の幌は扱っていないので社外品の持ち込みでしたが、

まぁ概ねいい感じのクオリティを保っているのではないかと思います。

もうちょっと安ければいいんですけどねぇ、幌だけで30万円オーバーだそうですので。

他車と比べて幌布自体はたいして複雑なわけでもないのですが、

やはり台数が少ないので割高になっているのでしょうか。

どこから仕入れればいいのだろう。

工賃込30万くらいでいけたらいいんですけどねぇ。

 

ガラス越しに見えるエンジンルーム、カッコいいですね。

完全にエンジンありきの車体レイアウト。

 

ちなみに360のデザイナーは、私が以前乗っていたプジョー406クーペと同じく、

当時ピニンファリーナに在籍していたイタリア人デザイナー、ダビデ・アルカンジェリ氏(故人)です。

細部をよく見るとデザイン的に似ている部分もあったりして、なかなか興味深いです。

 

こちらもアルカンジェリ氏の作品、BMW・5シリーズ(E60)。

残念ながら完成を見る前に亡くなってしまったそうですが、

そのせいか、なんだか、他の作品とはだいぶ毛色が違う気が・・・・

 

はい、次行きましょう。

こちらのS2000はオレンジのボディにダークブルーの幌。

いつも言っていますが、やはりよく似合いますねぇ。

何度でも言いたい、オレンジにはダークブルーが良く似合う。

 

こちらのMR-Sはブラックの車体にダークブルーの幌。

粗が目立ちやすい黒のボディですが、屋外保管にもかかわらずピッカピカです。

たいして特別な手入れはしていないそうですが、

大切に愛情を注いでいるとやはり違いが出てきますね。

 

それでは、また。