バリオルーフ修理

おはようございます。

 

今回はソフトトップ車ではないのですが、

メルセデスベンツ・SLK(R171)の、バリオルーフ駆動用油圧シリンダー交換を行いました。

オープンカーの専門店を目指すものとして、油圧系統の修理は避けて通れません。

 

はい、というわけで、内装をバラしていきます。

 

このパネルの裏に油圧ポンプが隠れているのですが、なぜかやたらとボルトが多い。

パネル自体はペラッペラであまりボディ剛性に貢献しているとは思えなのですが、

これだけたくさんのボルトで固定すると、それなりに効いてくるのでしょうか。

もっともハニカム構造だって、ペラッペラの紙でも非常に強度がありますもんね。

 

これが油圧ポンプとコントロールバルブですね。

こんなちっこいポンプ一個でハードトップ全体を駆動するのですから、油圧のパワーは大したものです。

 

オイル漏れ対策をして本作業開始です。

ホースを外すとオイルがだらだら流れ落ちてきますし、

外した状態でシリンダーを動かすと水鉄砲みたいに噴出しますので要注意。

トップロックと左右のメインシリンダーはこの位置で止めておけば作業中一切動かさずに交換可能です。

ただし、エンジンキーをオフにすると油圧が抜けてバリオルーフが下がってしまうので、

前からバンドで引っ張って固定してあります。

 

今回不具合を起こしたのは、このトップロック用シリンダーです。

ピストン部分のシール不良でオイルが漏れ、室内に垂れてきてしまうという症状です。

漏れている量自体も結構なペースですので、開閉を繰り返すうちに作動油が不足し、

いずれ不動になってしまうと思われます。

 

はい、というわけで、シリンダーを交換していきます。

純正シリンダーは非常に高額ですので、今回はリビルドのシリンダーに交換していきます。

左が純正シリンダー、右がリビルドのシリンダーです。

純正は油圧ホースがカシメて固定してしまってありますので、ホースごと全部交換しなくてはなりません。

シリンダーだけ交換出来ればすぐ終わるのに、なんとめんどくさい構造。。

ちなみにリビルド品はカシメ部分を加工して、シリンダーだけ交換出来るように改良されております。

 

一気に全部外してしまうと配管ルートが分からなくなってしまうので、

一か所ずつしっかり確認しながらホースを引き回していきます。

このホースの引き回しをするために内装を撤去する必要があるため、

ばらしたついでに予防措置として、メインシリンダー左右2本、トランクリッド用シリンダー左右2本、

合計5本の油圧シリンダーを全交換させていただきました。

 

油圧ホースは複雑な可動部の間を縫うように通してありますので、

配管ルートを少しでも外れると動作時に挟まれて損傷してしまう可能性があります。

というわけで、完全に元通りに慎重に配管していく必要があります。

 

トランクリッドのシリンダーはトランク内の内張をはがすと出てきます。

ここの2本だけはシリンダーからホースを外すことが出来る構造になっていますので、

比較的簡単に交換することが可能です。

ここのホースを交換するには周辺部品を相当外さないと無理そうでしたので、

正直かなり安堵いたしました。

 

交換が終わったら作動油を入れて動作確認を行います。

シリンダーをすべて交換しておりますので、作動油を入れても入れてもどんどん吸い込まれていきます。

念入りにエア抜きをして、作動油が経路全体に行き渡ったことを確認したら、

タンクに作動油を規定量まで補充して作業完了です。

エアが噛んでいる場合、ブジュブジュ・・・と変な音がします。

作動油が不足した場合も同様の音がしていずれ動かなくなりますので、

普段から駆動時の動作音には耳を傾けておくことが大切です。

 

はい、というわけで、見た目は全く変わっておりませんが完成です。

当店では、油圧シリンダー、ホース、ポンプ、コントロールバルブまで、

全てリーズナブルなリビルド品にて修理対応させていただくことが可能です。

もちろん、怪しい品ではなく、専門の工場でリビルドされ、純正の弱点も改良された確かな製品です。

純正品で交換した場合30万円近くかかりますが、今回は15万円程度でおさまりました。

よほどマニアックな車種でない限りほとんどの車種で対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

 

それでは、また。