スレスレ

こんばんは。

今日は、是非知っておきたい・もらいたい、クロス生地の耐久性についてのお話し。

 

先日、当店で幌交換をさせていただき2年になるオーナーさんが、

経過報告、ということで現在の写真を送ってきてくださいました。

 

それがこちら。

ふむ、のっけからなかなかさわやかな写真です。

 

ちなみに使用状況としては、この2年間、駐車場は完全露天で雨ざらし。

オーナーさんはこちらのお車を通勤で日常的に使用しており、

快適シーズンの好天時はほぼオープン、という状況だそうです。

 

さて、そんな感じで使用してきた幌は2年たってどうなったのか?

 

じゃん、こんな感じ。

白っぽくなっているのが、幌を開けたときにスレが発生した部分ですね。

 

拡大すると・・・・

こんな感じ。

磨り減った、という印象はそれほどなく、色が抜けたように白くなっている感じ。

オーナーさんの感想としては、頂いたメッセージをそのまま転載いたしますと、

『 「色落ちしてみすぼらしくなった、ボロくなった」などということは一切ありません。  』

とのことです。

ご満足いただけているようで良かったです。

 

ただし、こちらの生地、実は最高級生地のGermanA5なのです。

当店で在庫を置いているStayfastと同じアクリルクロス生地ではありますが、

GermanA5はより繊維が緻密で、厚みもあります。

よって、全く同じ環境で使用した場合、その損耗の仕方にも差が出てくるかもしれません。

厚みがある分、GermanA5のほうがちょっと長持ちする、かも?

 

一方こちらのステッチ、お洒落に白い糸で特注したのかと思いきや・・・

なんと、元々は生地と同色だったのに、色褪せて糸だけ白くなってしまったのです。

2年でここまで退色するとは、私もちょっとビックリ。

私のロードスターに付けているダークルビーの幌は全然こんなことはありませんでしたので、

やはり保管環境、とりわけ「紫外線を浴びせない」ということが大事なのかもしれません。

(私のロードスターは幌を取り付けた2009年より現在まで、ほぼ一貫して屋根の下に置いております。)

 

とまぁこんな感じに糸だけ退色してしまったわけではありますが、

オーナーさんは『これはこれで味が出て、というかむしろオシャレになって満足しています。 』

といった具合に極めて前向きに捉えられておりますので、

それならまぁ私もお言葉に甘えて、

「一粒で2度美味しい感じで良かったですね」と、お答えしたいと思います。笑

 

さて、それにしてもなぜ糸だけこんなにも早く退色してしまうのか。

答えは、布部分と糸の部分で素材が違うからです。

布部分はアクリル繊維なのに対し、糸はポリエステルです。

ポリエステルも一般的には「色褪せしにくい」ということになっているらしいのですが、

それでもやはり2年間ひたすら野ざらしとなると、ここまで退色してしまうのですね。

 

一方アクリル繊維はというと、繊維の中でも最も染めにくいとも言われており、

「カチオン染料」という特殊な染料でのみ染めることが出来ます。

これがまた、染まりにくいアクリル繊維を染めてしまうだけあってか耐久性が大変高く、

色褪せのしにくさの度合いを示す「耐光堅牢度」という値において、

アクリルクロスは他の繊維よりも頭一つも二つも飛びぬけているようです。

というわけで、ポリエステル糸が悪いというより、競争相手が悪かった、というところでしょうか。

 

じゃあ糸もアクリルにしたらいいじゃん?とも思いますが、

きっと強度か何かの関係で糸はポリエステルじゃないとダメなのでしょう、きっと。

 

ちなみに、メーカーの保証規定でも、

「ポリエステル糸の退色は保証対象外」と明記されております。

逆にアクリルクロスの過度の変色は保証対象となっており、

やはりメーカーも双方の特性を踏まえたうえで製造していることが伺えます。

 

 

さて、だいぶ長くなってきておりますが、まだ続きがあります。

アクリルクロスの幌をさらにヘビーに使い込んでいったらどうなるのか・・・・

こうなりました。

磨り減りまくって、ついに中間のラバー層まで露出してしまっています。(黒く見える部分)

 

 

 

こちらは接触していた反対側。

ラバー層までは達していませんが、繊維は相当磨り減って白くなっております。

 

どうやって擦れているかというと、幌を開けたとき・・・・

こんな感じで接近してきて・・・・・

 

このように、布同士が常に接触した状態になり、

車体がバウンドするたびに幌も上下に動き、ズリズリ擦り減っていく、という状況なのです。

 

ただ全体的に見てみると、どうも擦れは一番当たりやすい1箇所に集中しており、

幌を開けるときにここに柔らかいタオルでも挟んでおけば、擦れはかなり避けられそうです。

面倒でも毎回タオルを挟んで長持ちさせるか、

それとも細かいことは気にせず開けたいときにパーン!と開けて、

磨り減ってきたらまた替えたらいいじゃん、とお気楽にいくか。

考え方は人それぞれ、ご自身の性格とご相談の上、お決めいただければと思います。

 

ちなみにこちらのオーナーさんは数年間・数万キロ、

一切遠慮無しに開けて開けて開けまくっていたところ、こんな感じになったそうです。

 

今回の写真はお仲間のRS乗りの方の幌交換で一緒にご来店された時に撮らせて頂いたのですが、

そのときも当然オープン。

幌がやれてきても、開けてしまえば関係ない。

そんか感じの、非常にオープンカー乗り気質あふれるオーナーさんでありました。

 

それでは、また。